MOMもるひ | ラグナロクオンライン日記ROブログスポンサーサイト

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MOMもるひ | ラグナロクオンライン日記ROブログ【RO短編】~Lose Lief~(初出:2004.5.24)

もるひデス。
随分とご無沙汰しておりマシタ。
まったくもってスルーされておりマスが、ご心配をおかけいたしマシテ申し訳ゴザイマセン。
春のこの時期は程度の差はあれど鬱が再発いたしマシテ、暖かい日差しにぬかるんだ雪のごとく、身体機能ならびに脳機能の著しい低下を自覚いたしマス。
一言でいうなら「ヤル気ネェ」状態でゴザイマス。

ふと、4年ほど前に自分で書いた小説を読み返し、「ああ、あのときよりは心の負担が軽減されてるナ」と噛みしめる重病人。

それにしても、鬱状態の方がイイ作品が生まれるもんダ。
もし何か漠然とした悩みをお持ちでしたら、それは誇るべきスバラシイ能力として認識するのがよろしいかと思いマス。
悩めるのも才能デス。

既出の作品でありマスが、今回ほんの少し手を加えましたので、まだお読みになっていない方はドウゾ。
もるひのココロの暗部にちょぴっと触れられマス★


ココロと時間に余裕があるヒトへ。
  ↓

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2008-04-20 | RO小説コメント : 31トラックバック : 0

MOMもるひ | ラグナロクオンライン日記ROブログ【RO短編小説】 やくそく

もるひデス。
以前に公開していたRO小説を修正して再UPいたしマス。
『初出2004.6.28』デスから、今から2年前のお話デス。
あれからもうそんなに経つのか……もるひも1年ごとに読み返してマス。
いろいろと思い出のある作品なので。

まぁ、ココロに余裕があるときにでもドウゾ…。

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2006-09-09 | RO小説コメント : 13トラックバック : 0

MOMもるひ | ラグナロクオンライン日記ROブログ俺と奴とのRO事情03 ~真夏はダンサーしかないな~

「何事にも限度があるだろう。それは他人に迷惑をかけない必要最低限の際どい防衛ラインというか制約であり契約であり盟約というか規約というか、どうでもいいが現時点で迷惑なのだ。焼くぞ」
奴はねっとりとアイスを嘗めつけながら、じっとりと肌にまとわりつく湿気の中で膝を抱えて座り込んでいた。煮え立つ火山のマグマのように絶え間なく噴き出る汗が、小川のせせらぎのようにアゴを伝い落ち、岩肌を穿つ地底湖の雫のように大地を潤していた。
そんな状況に耐えられない奴は、照りつける太陽に向かって文句を言い出した。
「見てみろ、ご機嫌な顔しやがって。オレの不快指数を指折り数えて推し測れ。法的に訴えて黒点じみたホクロを大量に焼きゴテで貼付してやるから覚悟するがいい」
ひどく自分勝手な上に横暴で意味不明なことばかり口にするので、俺は『夏だしな』とため息をつきながら、やはりアイスを食っていた。
人の密集したプロンテラの街中は特に蒸し暑く、木陰に潜り込んでも十分な涼を取るなど不可能だ。奴とベンチで隣り合わせなのも、特筆すべき問題点でもある。
「よく聞け。オレはマジシャンだ。いかなるときも正装のごとく厚手のローブを着込み、魔力と知力の極地を目指して日々汗を流している。だからといって今日は流しすぎだろう、涙まで出るほどだ。たまには脱いでもいいだろうという悪魔の囁きが、淫魔サキュバスのように甘く切なくオレの耳元で吐息があッふぅん、誘惑するのだ」
「じゃあ脱げよ。お前が一日くらいローブを脱いだところで誰も咎めやしないし気にも留めないだろうさ」
パタパタと掌でわずかな風を送る俺が進言してやるのだが、ポリシーが許さないだとか人前で肌を露出させるのは卑猥だとか面倒な事をぐだぐだと360字程度で述べ、奴は頑固にもローブを脱がないのだ。

そうするうちに、事件は起こった。
しゃらしゃらと軽快な金属音を立てて、ダンサーさんが通り過ぎたのだ。
華美な装飾を縫いつけた薄手の衣が軽やかな足取りとともにゴージャスに揺れ、それはまるで風鈴のようにはかなくも涼しげな音色。
荒んだ心に一服の清涼剤のごとく浸透し、俺は束の間の安息を感じ??
「お待ちなさい、そこのお嬢さん」
奴がダンサーさんの前に進み出た。
「不条理だと思いませんか。この蒸し暑い空気の中、僕はこのように暑苦しいローブを着込んでいる。それ反してあなたはどうだ、そんな必要最低限の際どい防衛ラインを張りながらも、淫魔サキュバスのごとく挑発的に腰を揺らす歩行方法に加え相乗効果で太ももとか谷間とかあッふぅん、我慢にならないので僕も脱いでいいですか」
ばさりとローブをはためかした奴は、顔に痛烈な手形をつけて帰還した。
「マジシャンとして知識の探求をしていると、常々世の不条理を感じるのだがどうだろうか」
「探求の仕方が悪いと思うんだがどうだろうか」
俺は肩を怒らせて去りゆくダンサーさんの背中をただ見送るだけだったが、奴のハートには何か別の感情が芽生えたらしい。
ゆらりと立ち上がる奴の目には、確たる信念の光が映っていた。
「決めたぞ。オレはマジシャンの証たるローブを外してやる」
「まぁ、いいんじゃないか」
「そして『サイト』の魔法を唱えてやる。頭上でぐるぐると旋回する火の玉と共に、半裸でプロンテラ市街を走り抜けてやるのだ!」
「待て。それは人の道までも外している」
「止めるな。これは新たな世界の幕開けなのだ」
奴はふいに立ち上がり、肩越しに俺の方に顔を向けた。青空をバックに微笑み、『さぁ、一緒に冒険にでかけよう』と優しく手を差し伸べるのだ??
「断る」
「貴様。アイスを分かち合った友情を忘れたのか。オレの友達リストから削除してやる!」
「プロンテラ警備兵のブラックリストに載るよりマシだ」
「ふん、既存勢力にシッポを振りつつ甘い汁を貪りすする政府の犬め。これからは解散とか革命とかがブームなのだ。大いなる時代の奔流よ、オレの勇姿を目に焼き付て歴史に刻め!」
ばさりとローブを脱ぎ捨て、奴は気合いと希望を込めて火の玉を生み出した。いつもより多く回っている気がした。
熱気を帯び、体にはほとんど衣類を纏わず、奴は新たな時代とやらに向かって駆けていく。『うんばー!』と原住民じみた奇声をあげて、人込みの真っ只中に潜り込んでいくのだ。
「……あれも青春の1ページとか若気の至りとかで済むんだろうか」
ぼとりと足元に置き去りにされたアイスが見る見るうちに泥沼化していくのを見下ろしつつ、俺は嘆息するのだった。



??間もなくして奴は、見るも無惨な姿になって街の外に捨てられていた。
話によると、露店商人のひしめく街中で奇声をあげながら情熱のファイヤーダンスを繰り広げた奴は、枝テロリストどころか新種のモンスターと間違えられ、夏のバカンスを露店ショッピングで過ごしていた槍騎士集団に360度フル回転で突かれたらしい。降り注ぐピアースの雨がすべて被弾、奴の体は折って畳んだ紙飛行機のごとく舞い散ったようだ。
「……笑えよ」
奴は大の字に倒れたまま、ふっと自虐的に笑った。
「どうだ、この世間の冷たい仕打ち。吹き飛ぶのは慣れっこだが、いつもより多く炎天下を踊り狂った気がするぞ。時代の最先端には常に誹謗中傷がつきまとうが、いくらなんでもこれはヤリすぎだろうというか槍キライこわいやめてください」
なにか変なトラウマが残暑のごとく残っているようだが、自業自得なので俺はコメントを控えた。
そのとき、ふと視線を感じた。
見ると、近くの木陰にさっきのダンサーさんが立っていた。うつむいた視線は倒れた奴に注がれているのだが、軽蔑しているわけでもなさそうなのだ。
「あなたの踊り、見ていたわ……」
ダンサーさんは少し視線を落としたまま、告白し始めるのだ。
「実は私、踊りに対してスランプに陥っていたの。長年やってるとあるのね、思うように踊れない苦悩が。でも、あなたのさっきの踊り。恥も外聞も捨てて感情の揺れ動くままに自己を表現する信念と情熱……忘れていた青春のあのころが思い出せるようだったの……」
その言葉を聞くと、奴はリザレクションで復活したかのように立ち上がり、勢いに任せて『あれはあなたのために踊ったのです』とまるで口からデマカセを紳士的な半裸で微笑んだ。
「はじめて会ったときから僕は気付いていたのです、その瞳の奥に映る悩みを。そう、ギリギリラインで踏みとどまってしまっている、あなたのクランプ……って毒ネズミでしたっけ、ああ、スランプね。あなたは世間からの目、すなわち評価を気にするあまり、身がすくんでしまっているのです。あとほんの少し、踏み出すことができれば。僕はその一歩踏み出す勇気を、身をもって証明したかったのです」
「まぁ……」
ダンサーさんは顔を赤らめ、奴の顔を正面から見つめた。
いかにも夏のメロドラマのような雰囲気に、俺は他人事ながらも声援を送った。
??今だ、ハイセンスな決め台詞でダンサーさんを落とすのだ!
奴の脳内は、今や火の玉よりもフル回転しているはずだ。相手はダンサーだ、『シャル・ウィ・一緒に踊りませんか』でもいいだろう、『軽やかなステップで共に歩みませんか』でも『僕が踏み出す勇気をあげるよ』でも充分だ。
千載一遇のチャンスを逃すほど、奴だって馬鹿ではないはず。
そしてついに、奴はうしろを向き、肩越しにダンサーさんに顔を向けた。夕日をバックに優しく微笑み、『軽やかに踏み外してみませんか、人の道を!』と紳士的に手を差し伸べるのだ??
「断る」
ハエ羽でテレポートしていったダンサーさんの跡地を、奴は呆然と見つめていた。
「……やはり人道って大事だな」
ぽんと手を置いた奴の肩は、小刻みに震えていた。武者震いではあるまい。
「泣いているのか」
「ふん。これは汗のように不条理な物体だ。今日は身も心もアツイから流しすぎだぜ」
奴の瞳の奥底からは吹きこぼれた鍋のように絶え間なく涙が溢れ、一気にやつれたアゴの骨格を伝い落ちた先の地面は轟音唸る滝壺のようだった。
「今日のことは、真夏のメモリーとして心に刻んでおくがいい」
「ふん。360字程度でまとめてやるさ……」
そして奴は、再び太陽に文句を言い出した。
『真夏の青春1ページ』、1個獲得。
2005-08-10 | RO小説コメント : 8トラックバック : 0

MOMもるひ | ラグナロクオンライン日記ROブログ俺と奴とのRO事情02 ~ぽりんしかないな~

いつもどこでも同じようなことだったが、俺たちは戦い慣れた狩場でがむしゃらに剣を振るい、部屋の隅で膝を抱えてぶつぶつと呟くように魔法を唱え、激闘の最中を踊ったり跳ねたり必殺技を繰り出して見せ場を作っても誰も見てる奴いないだろうと自虐的な満足感に浸りつつも、なにか貴重なアイテムが落ちてこないものだろうか、もし落ちてきたらアレもコレもソレもドレイも買い占めて贅沢三昧でモテモテだと、棚からボタモチな皮算用をしていたのだが、いきなり奴が左斜め45度後方にすっ飛んだ。
「ぬぅ」
手痛い打撃を食らった奴は、呻きながら杖をついて立ち上がった。
「気をつけろ。このオレの鍛え抜かれたボディをまるで折って畳んだ紙飛行機のように天高く吹き飛ばしやがった。並大抵の腕力ではない、まさに神クラスだ」
「紙装甲の貴様の台詞ではないな」
俺は冷静に剣を構え、目の前の魔物と対峙した。まだ退治はしていない。
すごく強そうな魔物だった。俺的すごいランキングの王座に君臨しているといってもいい。こいつを倒したら英雄として首都プロンテラに凱旋を強行する。
街中を覆い尽くす拍手喝采、花束とギャルの接吻が飛び交う中、俺はお立ち台で鮮烈なヒーローインタビューを繰り出す。「あんなやつ、ポリンだったさ……」と右斜め45度のカメラ目線で髪をかき上げ、古今東西東奔西走、乙女のハートを愛のキューピットよろしくダブルストレイフィングで撃ち抜くのだ。
「しかしながら、こいつはまったくもって相手が悪い。さすがの俺も武者震いを遙かに超越した悪寒がやめられない止まらない。あの曲線美を極めた体にして、あの面妖な挙動。こいつはまるで??」
ポリンだった。
暖かな日差しが振り注ぐ中、ピンクの球体がふよふよと蠢いていた。緑の草原との色彩コントラストがメルヘンチック級の穏やかな光景とほざく連中も存在するが、俺たちには恐怖の対象でしかない。
「絶えず脈打つ体から放たれる針のように研ぎ澄まされた殺気、極彩色ピンクの悪しき思念体。勝てるのか、こいつに……」
じりじりと間合いを詰める気配に気付いたのか、ポリンが振り返った。
底の見えない禍々しい黒い眼に見据えられ、背筋がフロストダイバー。
腰が引けたままなのも気が引けたので、俺は精一杯の虚勢で啖呵を切った。万が一の事故に備えて、背後にタンカも用意しておく。
「ここで遭ったも何かの縁、まさに地獄の一丁目。弾けるその身を覚悟しろ、ピンクの飛沫を撒き散らし、おとなしくゼロピーをよこすがいい!」
天を突くがごとく剣を振りかぶった、そのとき。
「なにやってるんですか!」
 突如、制止の声が振り落とされた。凛とした声に、俺たちは身をすくめてきょときょとと周囲を見回して「何者だ!」と悪役のように強気に振る舞った。
登場したのは、アコライトの少女だった。
「私のペットになにしようとしてたんですか!」
その少女はポリンに駆け寄り、ぎゅっと愛おしげに抱きしめた。
人間やめてポリンになりたいと思ったのは、今日がはじめてではない。
「いや、いじめるだなんて。それは大いなる誤解さ」
奴が紳士的に前に進み出た。
「オレが落としたゼロピーを、その子がうっかり誤って食べてしまってね。しっかり謝って早急に返していただきたく、パワフルにシャッフルしてみたかっただけなんだ」
アコさんと奴の距離が5セルほど開いた。
「そんな邪険にしなくてもいいじゃないか。ここで会ったもなにかの縁。まさに天国への階段一段目。本能と煩悩に翻弄されて激烈ハッピーにならないか」
奴の投げキッスはニューマの霧で防がれた。
完全に拒絶されてふて腐れた奴を尻目に、俺は素朴な疑問を発した。
「そのピンクの物体は君のペットといったな。普段はどんなものを食べるんだい」
「ゼロピーとか食べます」
「そうだろう。あれが好物らしいからな。俺は常々疑問に思っていたのだが、あのいぶし銀の固形物、本当にうまいのか」
奴が左斜め後方から割り込んできた。
「右と同じく、オレもそれが不可解な点だった。オレはマジシャンだ、世界の謎を解明するのが使命だと言わんばかりに道端に落ちていたゼロピーを口に含み、爽やかにはにかみながらも官能的に甘噛み、唾液をまぶして何度も何度も反芻しつつも、ついには吐き出した。そう、こいつはオレに扱えるレベルではなかったのだ。無惨にも地面に打ち棄てられたゼロピー、それを突然横沸きしたそのポリンが……食ったんだ! さもうまそうに! むしゃむしゃと!」
アコさんは真っ青になって、ポリンの体をシャッフルした。吐かせそうとしているらしい。
「君、その行動は自分の所有するペットに対して酷い仕打ちじゃないかい。飼い主の風上にも置けないぜ、もしや飼い主に似てそういう趣味かい。マゾか何かか、俺はマジシャンだが」
奴が冷酷にも指摘したので、アコさんは泣きそうな顔で逃げ出した。
そして近くにいたブラックスミスの女性に抱きついて泣きつくのだ。
「助けてお姉さま! あの人たち変態です!」
そう言ってポリン級の胸に顔を埋める少女。男やめてアコさんになりたい。
事情を聞いたブラスミさんは肩を大きく回して凶悪そうな鈍器を取り出した。鈍器片手に仲良しこよしの対談を続行するのは無理がある。友好的な雰囲気ではなかった。アドレナリンその他もろもろの物質が大量に分泌して体内を駆けめぐってる感じだ。
俺はといえば体中の汗腺から冷や汗を吹き出しつつ、冷静至極、剣の柄に手をかけた。
「女子供に手をあげるのは俺の流儀に反するのだが。やむをえまい、どちらが正義かをわからせてやろう」
歩み寄るブラスミさんは、手持ち無沙汰に手頃な岩をハンマーで打ち砕いた。
「ふ……繰り返し宣言するが、女子供相手に手をあげるのは俺の流儀ではない」
思いっきり両手をあげて降参したのだが、俺のポーズを戦闘体勢の一種と思っているのか、ブラスミさんの殺気が衰えることはなかった。
もうダメ絶体絶命のピンチだと覚悟を決めた瞬間、俺の全身が燃えさかるように熱くなった。
火事場というか死に際の馬鹿力でも自動発動したのだろうか。アドレナリンが全身を駆けめぐり、血液が沸騰してコーヒーを淹れられるかと思うほどだ。俺の内部で何かが覚醒したのだとマジで確信したのだが、実はというと、奴が左斜め45度後方からファイヤーボルトを食らわせてきたのだ。マジの確信犯だ。
「なにをする貴様。悩ましげに悶えるくらい熱いぞ」
「冥土の土産に教えてやろう。輝かしい戦い歴史も、語り継ぐ者たちがいなければ無となる。オレは貴様の尊い犠牲を胸のポッケにこっそりしまい込んだまま永久に封印し、ゆりかごから墓場まで安穏の生活を満喫してやるのだ……!」
「なにぃ。裏切ったな貴様。くそぅ、体が焦げる。このままでは真っ黒い炭になる。黒炭だ。そんなのブラックスミスの方が適任じゃないのか。あまりにも不条理だ」
 煙をあげて地面に倒れ伏す俺をせせら笑いつつ、奴は女性陣に対して両手を開き、人畜無害のナイスガイとばかりに爽やかなスマイルを浮かべた。
「オレは君たちの味方さ。見よ、大いなる悪の権化は紅蓮の炎で焼き尽くされた。正義の使徒にしてか弱きレディ達よ、安穏の地は我が手中にあるといっても過言ではない。さぁ、遠慮せずオレの胸に飛び込んでくるがいい!」
お言葉に甘えて痛烈な鈍器ラッシュが奴の体に降り注ぎ、キラキラと輝かしい戦績と鮮血を吹き飛ばしながら、奴は青空をバックに錐揉み飛行でスパイラルピアースのごとく地面に突き刺さったのだった。



ぼろぼろになって街の外に放り出された俺たちは、仰向けになって倒れつつ、沈みゆく太陽を見つめてネタも煮詰まっていた。夕日に照らされ真っ赤っかに染まる以上に血染めな俺たち。口を動かす気力もなかったので黙っていたのだが、そのとき、何者かの禍々しい気配が近づいてきた。
軋む首を無理矢理ねじってみると、そこにはポリンがいた。
「なにを見ている。俺たちの姿がそんなに滑稽か」
さっきアコさんと一緒にいたポリンと似ていた。同一の個体かもしれないが、どれがどうハンサムだとか見分けが付くわけがない。
「おかしいか。笑えよ。腹皮が裏側によじれるほどにな。そうか、腹が減ってるんだろう。今ならこのとおり無防備だ、無様に抵抗する気力もない。遠慮なく食すがいいさ……食えよ、さぁ食えよ! むしゃむしゃとむさぼるがいいさ!」
その懇願をまったく無視して、ポリンはなにかを吐き出した。
ゼロピーだった。
「……。くれるのか」
ポリンは黙って去っていった。『プレゼント・フォーユー』……そう語りかける後ろ姿が、あまりにもダンディだった。
銀色に光る物体を間に挟み、俺たちはふっと悟った笑みを浮かべた。人外ポリンに同情され、人間やめたくなってきた。が、せっかくの贈り物を無視するのも気が引けたので、奴に押し付けることにした。
「貴様、食ってみろよ。むしゃむしゃとうまそうに食ってみろよ」
「何をほざく。オレはすでに勇猛果敢にも唾液をブレンドした輝かしい経歴がある。まだ未経験のお前に両手放しで譲るのが永遠のフレンドではないか」
「一度の経験に味を占め、まだ同じ過ちを繰り返す気にはならないか」
「間違いなのか、罪なのか。ゼロピー食うのは犯罪か」
「歴史は時として残酷だ。遠い未来の我々から見れば賞賛すべき行為に対し、異端とばかりに弾圧する世論が勃発しうる。つまり貴様の行いは一見して愚行であるが、わずか数年のうちに永久に語られる英雄となろう」
「そいつはいい、オレ最高。まさに一世風靡の電光石火だ。オレは夜空にまたたく星となり、夜な夜な窓際のレディにきらびやかなウィンクを繰り出す。そして、うっとりしっとりと頬を染める淑女の皆様のリクエストにお応えして、すぐさま一撃必殺の流れ星となるのだ。闇を切り裂く一条の光は乙女の心で鮮烈デビューを果たし、生涯を通して忘却不可能な一大シーンとなることだろう。今この一瞬から、オレの腐れた未来は180度の変貌を遂げるのだ!」
自己のフューチャーに光明を見出した奴は、武者震いで小刻みに揺れる指で巧妙にゼロピーをつまみあげた。そのまま飲み込むと思ったら、なにを思い直したか、ひょいと胸のポッケにしまい込んでいた。目にもとまらぬ手品師のような早業だった。ただのマジシャンのくせに生意気だ。
「ふっ。血と涙と唾液まみれの戦歴を一瞬で消化するなど、まさしく歴史に対する愚弄だ。この銀色固形物はオレのハートを熱くするメモリーの欠片として、いずれ太陽のように放射線を四方八方に放射することだろう。オレの未来は明日に架ける虹の橋、まさに夢色スペクタルさ」
「腰抜けめ。デンジャラスな状況をうまく誤魔化したようにしか見えん」
「なにをいう。たまたま夢と希望で胸と腹がいっぱいだっただけだ」
そう強がる奴の腹の虫が、一匹オオカミの鳴き声のように情けなく空に響いた。
「……。世間には黙っててやる。食えよ。遠慮なく食えよ」
俺はつぶやき、ふっと右斜め45度のダンディを演じた。
奴が本当にゼロピーを消化したのかは、俺の知るところではなかった……。
思い出にまみれたゼロピー、1個獲得。





2005-05-04 | RO小説コメント : 8トラックバック : 0

MOMもるひ | ラグナロクオンライン日記ROブログ俺と奴とのRO事情01 ~奴の靴には穴がある~

毎度のことくだらない展開なのだが、ふとした拍子に「今いちばん欲しいものはなにか」という話になった。波瀾万丈な人生模様をふんだんに盛り込みつつ、酸いも甘いも赤裸々に盛り上がる予定だったが、奴は「新しいシューズがほしい」の一言で場の展開に終止符を打った。
「だったら首都プロンテラにでもいくか。あそこの密集している露店なら手頃な中古品が見つかるだろう」
そんな流れで、俺たちは滞在している田舎から少し遠出することになった。
道端を歩いていたアコライトに声をかけると同時に金をかけて、俺は首都まで一気にワープポータルで転送してもらうことにした。足腰に無駄な負担はかけない主義だ。
奴はといえば美人のプリーストを口説き落とし、無料でポタを出してもらっていた。奴はそういう足腰の使い方をする。


闇ポタされた奴と一時間後に合流し、俺たちは並んで大通りを歩き始めた。
「貴様はなぜ新しい靴が欲しいのだ」
素朴な問いかけをすると、奴は無言で足元を指し示した。それを見て、さしもの俺も絶句した。
「なんだと。それはこの世にあるまじき不正品か。スロットがひとつ多いぞ」
「ちがう。ボロすぎて穴があいただけだ」
 たしかにある意味レアなレベルでボロかった。アレなレベルで臭いそうでもある。
「雨の日も風の日も、砂塵舞い散る砂漠はもちろん、しっとりねっとり陰湿なダンジョンの奥底でも、俺はこの靴と一緒に戦い抜いてきた。共に笑い、時には泣き。まさにかけがえのないマイフレンド、汚れなき盟友。しかし、そろそろ無理が祟って限界が近い。盟友のくせに汚れもひどい。別れるのはつらいが、戦友にセンキューの気持ちで、おニューの靴に鞍替えすることにしよう」
 心苦しそうに顔を歪めながら、奴はひさびさのショッピングにうきうき気分だった。
 そんな奴が、ふと足と同時に目をとめた。
「ほう。この靴、なかなかいいじゃないか。おっさん、これはいくらだい」
「おにいちゃんと呼べ」
 それは無理な相談だ。
 奴はその頑固そうな中年商人と交渉を開始し、ほんのわずかでいいから負けてくれと食い下がった。腐犬ベリットのように噛み付く勢いだ。この値札には0が多すぎやしないか、なにかの間違いか詐欺だろうだから1つと言わず2つほど削ってくれ消してくれ滅してしまえと、まるでダダをこねる子供のように屁理屈をこねた。その気迫に押され、商人はしぶしぶ折れつつも、ひとつの安易な条件を提示した。
「ジャンケンに勝ったら安くしてやろう」
「ふむ。いいだろう、のぞむところだ。俺の鉄拳アングリー、飢えた獣のハングリー! 現世の怒りと来世の希望を込めた完全無欠にして悠久不敗の正義を一身に受けるがいい!」
 奴は負けたので、値札のままの金額で購入することになった。
 それでもお得感満載の商品だ。奴はさっそく足に通し、軽く三回転半ジャンプを繰り出した。白鳥のように美しく跳躍し、着地はさながら醜いアヒル。
「ふむ…このフィット感、やはり俺が目をつけたことだけあるな。実に満足だ」
 ご機嫌でスキップを繰り出す奴から少し離れて、俺はうしろから声をかける。
「おい、そんなはしゃぐと痛い目に遭うぞ。大方の予想、そのうち転ぶ」
「転ばぬよ。俺はこう見えてもマジシャンだぜ。転ばぬ先のS4ロッドさ。俺の人生は順風満帆だ」
 靴一足でそんなに人生が変わるものかと俺は鼻で笑い飛ばしたが、それはそうと、奴の手にはまだ以前の靴がぶらさがっていた。あれはどうするのか、得意のファイヤーボルトで焼却してしまうつもりか。
 そう思っていると、奴がパチンと指をはじいた。
「うむ、この古い靴の処分を思いついたぞ。せっかくの大都市に来たんだ、ここは露店を出して売ってみようじゃないか。今となっては古びたものだか、それでも欲しいという奇特な人物が存在するかもしれない。新しい買い手がつけば、この靴もさぞ喜ぶことだろう」
 廃棄した方が世のためになる気もしたが、奴はさっさと出店の準備を始めていた。商人でもないのに手慣れたものだ。
 道端に座り込み、奴は声を張り上げる。
「いらっしゃい。出所は詳しく説明できないが、とにかく靴だよ。安いよ」
 高かったら詐欺だなと思いながら隣で座っていると、俺たちの前に立った人物がいた。
 プロンテラ警備兵が不審人物を取り締まりにきたのかと思ったが、それはアコライトの少女だった。
「あの、商品を見せていただいてもよろしいですか?」
 奇跡的に客だった。
 奴は諸手を打たんばかりの勢いで靴を差し出し、あれこれとアピールを始めた。ぼろいなどとは口が裂けても言えない。歯が浮くような美辞麗句、過剰広告もいいところだ。
 アコさんはそれを真剣にふんふんと聞いていた。そいつの言うことを信じちゃいけないぜ、と警告しようと思ったが……外見からしてあのボロだ、どうせ最後には愛想よく『また今度の機会にします』ってことになるに違いない。
 そして最後に、彼女はにっこりと笑った。
「じゃあ、この靴いただきます」 
 まるで天使の微笑みだった。
 俺の視線はその笑顔に釘付けだったが、心が貧乏な奴は金の方に夢中だった。
 手もみをしながら代金を受け取る。
「まいど。大事にしてくれよな」
 奴はひらひらと手を振り、しめしめと金を勘定していた。
「いや、予想外だが儲けたぜ。まさか売れるとは。俺のファンかもしれない」
 奴の戯言を聞き流し、俺はぼんやりとアコさんが立ち去った街並みを眺めていた。
 そして、ふと、あることに気付いてしまった。
「おい。あの靴、ちゃんと洗濯してあるんだろうな」
「そんな暇があるか。さっき履き替えたところだろう。脱ぎたてほやほやだ」
「いかん。貴様、考えてもみろ。あの靴をあの子が履くんだぞ。貴様の臭いが染みついた汚らわしいボロ靴を。これが黙っていられるか、想像するに耐え難い」
「だったら貴様が買えばよかったじゃないか。親友のよしみで大サービスしてやったのに」
「そんな金があるか。そもそも、あんな靴を世に出すのが間違いだったんだ」
 俺は駆けた。天使のようなアコさんを追って。
 普段使わない足腰にムチを打ち、息切れするのも構わず走った。
 その甲斐もあってか、彼女の居場所はすぐさま判明した。
 街中央の噴水。ペンチに腰掛け、赤いサンダルを脱いでいる。その艶めかしい脚のラインに目と心と時間を奪われつつ、今まさに例のシューズを履くという世界規模の過ちを阻止する使命感に燃える俺は「やめるんだ止まるんだ、速度減少ぉぉぉぉぉ!」と使えもしないスキル名を喚きながら驚異的な跳躍力でアコさんに飛びかかった。
 驚愕に引き吊ったアコさんの顔が目の前に迫り、そのまま俺たちは重なり合って噴水の中に突っ込んだ。ロマンチックというにはだいぶ程遠い遠いダイブだ。盛大な水しぶきと泡ぶくをあげて冷たい水底に沈む俺は、しかし邪気に染まりかけた天使を救った達成感に酔いしれていた……体ぴったし水浸しになって柔らかくも暖かい密着感が非常にイイ感じで鼻血がやめられないとまらないたまらない、なんていうか致死量。
「おおお、これを世界を救う勇者の所業と行ってよいものか。なんと破廉恥な。真っ昼間にして往来のさなか、いたいけな婦女子をアクティブモンスターのごとく押し倒すとは。ハングリー精神過剰というか、あんぐり開けた口が塞がらんよ」
 ほどなく追ってきた奴が感心したように頷いているのだが、俺はそんなことにまるで関心はなかった。
 問題なのは、目の前に立つアコさんだ。
 天使の微笑みは悪魔の形相へと変貌し、爆裂波動のごとく怒りのLv99オーラを発している。水面がぐつぐつと沸騰しているようだった。
 アコさんは無言で腕を振りかぶり、「変態!」と叫んで拳を繰り出した。手には、しっかりと例のシューズをつかんで。
 衝撃と共にボロ靴を押し付けられ、なんていうか致死量。
 すさまじい臭気が鼻孔を貫き、脳まで達した刺激は一瞬で細胞間の連結を粉砕する。
 スタン効果があるなんて聞いてねぇと文句を垂れつつ、今までの波瀾万丈な人生模様が赤裸々にもキラキラと彩られて脳裏を踊り狂い、まさに渡る世間が走馬燈。
 昏倒した俺はそれで一件落着なわけだが、アコさんの方はびしょびしょで大変だ。
 奴が気を利かせて「俺はこうみえてもマジシャンさ。得意のファイヤーボルトで服を乾かすなんてお手のもの。おっと、誤って全部燃やし尽くしてしまうなんてどうかな。個人的な目の保養も相まって社会全体の福利厚生に適う賞賛すべき善行ではないだろうか」と紳士的に頬笑みかけて、ポタでどこかに飛ばされていた。

 一時間後に俺が目を覚ましたとき、ちょうど奴も遙か遠方より帰還した。
「いやはや、やはり都会は物騒だぜ。なにが起こるかわかったもんじゃない」
 そんな感想を述べる奴だったが、とりあえず新しいシューズと出会えたのだから当面の目標は達成しているのだ。それに引き替え、俺はなんなのだ。骨折り損か。
「見てみろ。せっかくあのアコさんが買ってくれた靴なのに、きっちり返品されてるじゃないか。貴様の鼻孔から噴き出た不浄な血糊が付着したせいだ、たしかにそんな商品の使用を強制されたら元・所有者である俺だって遠慮する、ハエ羽で逃げて法的に訴えるくらいだ」
 一連の展開でさらに疲れた感じの靴が、俺の側に投げ捨てられていた。
 都会エンジョイどころか、この街での行動はすべてカラ回りで終結した。これから誰も貰い手がないであろう靴を抱き、俺はニヒルな醜いアヒルのように悟った笑みを浮かべた。
「これもひとつの思い出なのさ……」
 血染めのシューズ、1個獲得。

2005-05-04 | RO小説コメント : 2トラックバック : 0

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